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にごりえ・たけくらべ [書籍他]

 百円で大満足、面白いし読みやすい。

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

にごりえ・たけくらべ (新潮文庫)

 と言う事で古本屋で百円にてゲット、この手の文学作品が僅かワンコインで手に入るのは何とも有難い。しかし10年前に金色夜叉を読んだ際に冒頭10ページのカルタのシーンが旧仮名遣ひで描写されているだけで読むのに大変苦労をした記憶が有るのですが今回はスラスラと、つまりは旧仮名については慣れているか否かで読みやすさはどうしても変わってくる。10年前の私レベルだと酷く読み辛い一冊ですが現在の私にとっては造作もないので誰にでも勧められるかは微妙。

 230ページ中小説部分は190ページほどでそれに20ページの注解と9ページの解説に5ページの年表が付いているのはやむを得ない、何しろ本編には当時のファッション描写や流行りの芝居や読み物に掛けた様な言い回しにロケーション描写がビッシリ登場するので、130年前の風俗なんぞコチラはさっぱり意味不明ですが一葉も女子だったのだなと変に納得してしまうファッションへのこだわりがある意味カワイイ。

 小説と呼べるほどのボリュームが有るのは「たけくらべ」位でして他は短編と言うかショートショートなボリュームばっかり、樋口一葉童貞の私としては本書を最初から読むしか無いので最初に収録されている「にごりえ」がいきなり心中物?だったので一葉ってこんな作家なの?と構えたらむしろ他の作品は何かが起きる様でこれと言ったカタルシスも無い作品ばっかりで拍子抜け、にごりえが心中物だったのでそんな展開に!?と思うと当時の女性の地位や社会情勢からすると当り障りのない着地点で話が終わるのが生煮えな様な救いが無い様な。


 落ちに破綻が無いと言うよりも結末をしっかり描写していないので読者の想像に任せると言うか投げっぱなしの作品ばっかり、本文庫に解説を寄せている三好行雄氏曰く、一葉は身近な貧困を題材に描写して小説を書く事は出来るが、自身の生涯において貧困から脱出した経験が無いので結末を想像する事が出来ないのだとか言われるとそんなところまでやはり経験値が必要なのかなと。

 とは言え、その身の回りの描写が却って台東区竜泉にある一葉記念館の様に周辺地域で「たけくらべ」の舞台を辿る事が出来たりもする。別に赤貧洗うがごとくの登場人物ばかりではないのは「萩の社」で富裕層子弟との交流も持っていたからだろうし、そこで見聞した上流階級の立ち居振る舞いや噂話なんぞをベースに書いたと思われるのが、金持ちとの格差婚なんて良いもんじゃないと言う「十三夜」だったり、わがまま奥様の「われから」なぞかなと。

 その「われから」は美観の持ち主ながら下級官吏に嫁いで、身の丈に合った暮らしではなく格差婚で奥様になった自分を妄想しては現実に打ちひしがれると言う、金持ちではなく昔の恋人と結ばれたアナザー「十三夜」でもあり、その娘が成金の娘になって贅沢三昧な上婿を取っても子が出来ないばっかりに娘気分が何時までも抜けずにいる様は、40代50代になっても「女子」気分な現代日本女性を何処か彷彿とさせる。

 ただ、「たけくらべ」だけはちょっと毛色が違って登場人物はこれから大人になろうと言う吉原の門前町で暮らす少年少女。一葉作品お定まりの貧困問題や大人になったところで就く仕事は決まっているし立身出世とも無縁な身分社会が背景には有るんだけれども、何か起きそうで結局は起きない思春期の男女のもどかしさがあってコレは児童文学になるんじゃないか?エロ満載なダルタニャン物語の濡れ場部分を全面カットすると児童文学の三銃士になるように、と思ったらそう言うの有るんですね。現代語訳でも思春期に触れておいて後日原文で読み返すのは実に贅沢だと思いますよ、ラノベとかでも良いけど文学も面白いゾ。

たけくらべ・山椒大夫 (21世紀版・少年少女日本文学館1)

たけくらべ・山椒大夫 (21世紀版・少年少女日本文学館1)

  • 作者: 森 鴎外
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/02/24
  • メディア: 単行本


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