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ビジネスエリートの新論語 [書籍他]

 異色の司馬遼太郎エッセイ。

ビジネスエリートの新論語 (文春新書)

ビジネスエリートの新論語 (文春新書)

 司馬遼太郎氏が昭和30年に本名福田定一名で出したエッセイ集、元は「名言随筆サラリーマン ユーモア新論語」と言うタイトルだったそう。なので「名言」「サラリーマン」「ユーモア」と言うお題の随筆なのでどうもボヤキ調になってしまい正直読んでいて面白いのか?と言う感じ。のっけから「サラリーマンの元祖」「サラリーマンの英雄」と言う調子でサラリーマンの定義付けを試みているのでもうその時点で私なんぞは全くお呼びで無いです。

 と言うのも、戦国武将の三傑を例に挙げて、豊臣秀吉を創業社長タイプ・織田信長を跡取り社長タイプとして、徳川家康こそ跡取りではありながらもサラリーマン的下積みを長く経験したサラリーマンの英雄とか言われちゃうとね。その三傑になぞらえると私なんぞは敢えて言うなら織田信長的境遇ですから、覇道とはおよそ縁遠いですけど。だから今年の大河ドラマの主人公も家臣団にも大した人物がいない凄くイマイチな中小企業っぽさに共感出来てると言う。


 ユーモアに拘るとカタカナ表記が増えるのだろうか?昭和30年と言うと正しく戦後であり、池田内閣の所得倍増計画の5年前なので高度成長期でもない。会社員のほとんどが戦争経験者で新入社員は大卒ならば昭和ヒトケタと言う昭和の終わりに団塊世代から「働き中毒のエコノミックアニマル」とか茶化された馬車馬のように働く世代と役者が揃っている感じがする。

 ところが、そのユーモア随筆にかかると、ナニコレ?平成の、21世紀の話じゃないの!?と言う新入社員の「新人類」っぷりであったり、サラリーマンも薄給過ぎて結婚子供もままならないと言う将来に対する不安だったり。世の中が変わって親の面倒や女性の権利の問題と、じゃあ翻って自分たちの老後の生活はどうなるんだ?と言う漠然とした不安がつらつらと書き綴られていてどういう事だ?

 60年後の我々から見ると大正末期から昭和初め生まれのサラリーマンと言うと厚生年金と企業年金で現在の現役サラリーマンの年収を軽く凌駕する老後の収入を得て一番裕福な世代だったので一体何を心配していたのやら?と言う事は今現在雇用形態や収入に不安を覚えている若い世代も将来どう転んでいるのか分からないのだな、戦争末期には四十数カ国を相手に独り戦って負けた挙句「四等国」と自虐する様と比べれば昨今のバブル崩壊だ失われた二十年だなんて可愛いものじゃないの。

 そんな教訓めいた第一部は読み物としてはそれほど面白くないのですが、巻末にちょっとだけある第二部は打って変わって司馬遼太郎の歴史小説に登場する魅力的な主人公みたいな実在の人物が3名登場する。こちらは実に面白い、痛快と言っても言い過ぎじゃない。スカッとする生き様では無いのですが、三様のまるで違う司馬歴史物の主人公で通用しそうな曲者が己の生き様を貫く感じに惚れる。前半部のボヤキエッセイが本体ですが第二部目当てに読んでも良いかなと思う位。


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