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乃木大将と日本人 [書籍他]

 古本屋で150円にて発掘。

乃木大将と日本人 (講談社学術文庫)

乃木大将と日本人 (講談社学術文庫)

  • 作者: スタンレー・ウォシュバン
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1980/01/08
  • メディア: 文庫
Nogi: A Great Man Against a Background of War (Classic Reprint)

Nogi: A Great Man Against a Background of War (Classic Reprint)

  • 作者: Stanley Washburn
  • 出版社/メーカー: Forgotten Books
  • 発売日: 2015/09/27
  • メディア: ペーパーバック

 著者のスタンレー・ウォシュバン氏は従軍記者として日露戦争時に陸軍第三軍に従軍して乃木大将の知己を得て身近に観察し、乃木希典が殉死した際に強い衝撃を受けて書いたのが本作だとか。それを目黒真澄氏が大正時代に翻訳して後に改訂版を出したのが昭和16年で、更に現代語に直したのが講談社学術文庫版だとか。随分と長い旅を。しかし現代語と言いつつも「登か(かはしんにょうに暇のつくり部分)」と言う天子の崩御を指す単語が出て来たりと読みやすくは無い。

 昭和16年と言えば日米開戦の年ですが乃木将軍の話とはいえ鬼畜米英人の書いた翻訳物の出版なぞあり得ない、と思うのは左翼史観のウソに蝕まれているから。大ヒット上映中の「この世界の片隅に」にある通り戦時下でもそれほどピリピリしていたわけでも無い。

 逆に大正~昭和16年は「軍神乃木」だったんだなと、今ではすっかり「坂の上の雲」の無能将軍イメージですが元々は軍神だったんだよな。そこは司馬遼太郎氏が週刊誌の連載小説執筆にあたり軍神の定説を覆す大胆設定を思いついたのか?それとも氏の従軍経験から歩兵突撃主義の象徴みたいな乃木将軍に対する恨みつらみを果たそうとしたのか?いずれにせよ今では司馬史観こそが定説になっているので本書は逆に新鮮です


 1890年代に出版された「戦争の将来」と言う本に近代戦の恐ろしさが記され、故に著者はノーベル賞を受賞したとか。しかしそれは日清戦争で旅順陥落に1日しか要しなかった日本人の成功体験を覆す事は無く、かくしてロシア軍が近代要塞に作り替えた旅順に第三軍は従前どおりの銃剣突撃をするに至ったとか。作戦の立案は陸軍が行ったもので乃木大将は前線指揮官として命令に従ったのみであり、兵も装備も銃剣突撃用の物が送られて来たので他の戦法を採るのは難しいだろう

 正面総攻撃が失敗した後は塹壕を掘り進む戦法に改めて陥落に至ったのであるから突撃バカでもないし手許のカードからすれば上々ではないのかな?海軍軍艦の艦砲射撃で援護されつつした南山第二回攻撃の成功を教訓と出来なかったりと言う陸軍のダメな体質は既に垣間見えていて、この旅順要塞攻撃の成功体験を太平洋戦争まで引き摺ってしまったのではないだろうか?

 前線指揮官として機械の歯車の様に攻撃指揮をした乃木大将の名はロシア兵に残虐な悪魔の様な印象を与えたとか、しかし著者と接する時には好々爺然とした表情になった様が描写されています。身近にいた者として作戦行動中・プライベート・独りでいる時の乃木大将の様子をよく観察しています、ロシアからの鹵獲品を使ったりだけどシャンパンやシェリー酒を用意して外国武官や特派員を歓待するパーティを開いたりと変に社交的なんだなと。

 第一次大戦までは国際法順守を心がけていたのが日本軍でして、以前日露戦争のロシア人捕虜の話を読んだ事が有るけど、収容所が四国にあってしょっちゅう道後温泉に遊びに行ったりと優雅だもんな。児玉源太郎が情報戦を認識して海外の新聞記者に対しては途中で態度を改めて非常に協力的になったと言うのも国際世論を意識していたのだなと、そんな時代の雰囲気も面白い一冊。

 加えて、本原書出版当時がアメリカの排日運動の最中だったとか。日本人学童離隔事件・外人土地法・カリフォルニア州排日協会の設立と言う大変な時代に敢えて乃木大将に関する本を出す勇気、その辺の事情は渋沢史料館に詳しく説明していたので何となく覚えています。今ならアラブの7カ国かメキシコか?と言う塩梅にアメリカから排斥されていた日本人も、そこから戦争を経てトランプ大統領に安倍首相が歓待されるに至っているので、そう悲観するなよ!とか思ったり。

 逆にアメリカは移民の国と言いつつも特定の人種や国家をしばしば排斥していた歴史を忘れちゃダメだね、しかしまたアメリカの友人として歓迎される日もやがて訪れるのだなと。渋沢史料館では無責任に反米を煽る朝日新聞記事も紹介されていたけど、フェイクニュースの魂百までか。


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サンフランシスコ人

米国の教育界では、近年日本が中国に負けてしまった...

http://news.wisc.edu/japanese-literature-course-leads-to-the-ultimate-field-trip-for-uw-students/

本日のニュースが、日本の逆転の可能性を少し示しています....
by サンフランシスコ人 (2017-03-11 07:56) 

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