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明日を支配するもの [書籍他]

 在庫図書読み返しの一環。

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命

Management Challenges for the 21st Century

Management Challenges for the 21st Century

  • 作者: Peter F. Drucker
  • 出版社/メーカー: Harper Paperbacks
  • 発売日: 2001/06/26
  • メディア: ペーパーバック


 昨年読み返した「イノベーターの条件」が「よりぬきドラッカーさん(社会学編)」だったのに対して本書は書き下ろしと言う建前です。エンロン・ワールドコムの会計不信ただなかのマネジメント論。特に6章は「もしドラ」の「マネジメント」を更に要約したような話で、ドラッカーさん話がぶれねえ、とつくづく感心。ただ、その前の1~5章で「マネジメント」と時代の変化で変わる部分をアレコレ列挙してあります。

 特に第5章ではフレデリック・ウィンスロー・テイラーの偉業、「テイラーシステム」のくだりは大学勉強したんで懐かしい、全然覚えていないけど。手許に残してある当時の教材「現代の経営者」を見るとテイラーからクーンツ、フォード、それに本書のドラッカーまで採り上げてありますよ。テイラーやドラッカーにはアンダーラインを引いているし。しかも全体的にシュンペーターの引用が散りばめてあって著者である対木先生の博学さが垣間見えると同時に凄い面白いんですけど。

 バブル期のアホ大学生だったので授業は半分も出ていない気もするし出てもちゃんと聞いていなかったんだろうな、当時の自分と入れ替わって受講したいよ、授業後は質問もしっかりしてさ。いや、対木隆英先生の講義を真剣に聞かなかったのがちょっと人生の汚点かもしれん。「現代の経営者」、アンダーラインや星マークの書き込みだらけで恥ずかしいけどコレも読み返さないとな。

 で、労働に関して史上初めて科学的に分析をしたのがテイラー、それ以前は古代ギリシア・ローマのポエム(日本なら山上憶良の「貧窮問答歌」かね)からカール・マルクスまで、肉体労働の知識や経験のない者が空想であーだこーだ語っていただけだったのが現場出身者としての知識や経験をベースにそれまでの「労働」の定義を否定し、「巧みの技」を単純作業に分解して効率を上げ、労働を必要以上に賛美し、美化して利権化させた連中の反感を買ったとか。やっぱイノベーションとはややこしいものを簡単にしたり利権を壊したりで憎まれるもんだよね。

 「会計不信」直後だけに会計士がよく引き合いに出されます。因みにアメリカには税理士はいないんで出てこないよ、申告書類の作成提出代行業には資格が要らないし、税法のスペシャリストはそのまんま弁護士の守備範囲だし。本書のテーマの一つが知識労働者の台頭でして、まあ会計士や税理士を念頭には置いていなかっただろうけど「自らをマネジメントする」として、税理士資格保持者ならば旧来の書類作成代行業務を堅持すべきなのか?それとも専門知識を「強み」として活かす方向に伸ばすべきなのか?と言う話も出てきますよ。


 という、本書の前提条件は「今までの前提条件が通用しない世界」でして、人間の寿命が延びるのに企業の寿命は縮んで人間の平均就労期間より平均的な企業の存続期間の方が短い現在では終身雇用も夢のまた夢だから月給取りの人も自営の人もスキルを磨いて(自らをマネジメントして)長い長い就労期間を生き延びるしかない、というお話。

 今までの前提が変わる、と言うのは税理士業界の決算業務お馴染み、必殺「去年の申告書の通り」なんてのが通用しない世の中になっているので日々実感しております。と言う私の危機感をウチの職員と共有出来ていないのがウチの事務所の悲劇でして、「去年の通りやると書式も計算方法も変わっているから絶対間違える、手引きやアンチョコ本見て作れ」と強く指導していても習い性の「去年の通りに作った」に負けてしまいます。口で何度言っても判らないなら暴力や減棒でトラウマを与えて刷り込むしかないのかね?とか暴論に走りたくなるのを堪えつつ、以下の文章の様に前提が違うから「エンプロイー」の人が己のスキルや保身からキャズムを超えてこちら側に来る事はないんだろうけどな

やまもといちろうBLOG(ブログ) 2011.07.21 サラリーマンとビジネスマンの違い(雑感)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2011/07/post-1f6e.html

 ただ、これまたドラッカー先生お馴染みの早期リタイアしてボランティアや非営利活動に身を投じる人云々と言うお話はあんまりリアリティが無いのが日本だね、年利何%だかで廻る不動産や金融資産を持っている人もそんなにいるでもないし。「長い老後」をドラッカーの予想通りエンジョイしているのは「現役の」高齢者世代で、彼ら・彼女らはドラッカーの言うとおり消費のリーダーとして輝いているけど我々の頃はどうだろうか?今のところ「死ぬまで働き続ける」事が目標だから良いけどさ。

 時代の変化とこれからのマネジメントの話なのですが、新書のビジネス本みたいな己のタイプ別把握法なぞも載っているので一見の価値あり。私が何故電車移動の際に読書をしたり休みの日にわざわざ図書館くんだりまで行くのも一番効率の良い場所がそこだと知っているからなんよ。ただ、ビジネス本との違いは著名な成功者を「極端な例」と斬って捨てて、一般人の場合は必ずしも成功するわけでもないよ、と念押ししているのが有る意味親切だなと。

 99年当時の「明日」は「いま」になっている部分よりも相変わらず「明日」であり続ける部分の方が多いかなと。英語の原題どおり、21世紀でのマネジメントの挑戦なのでそんなに簡単に失速しないだろうけど。1~4章はちょっとアレになりつつある部分ですが、5章のテイラーの手法の紹介と6章のドラッカー流マネジメントのエッセンス部分は21世紀の考え方のモデルになると思います。

 そうそう、書きモレ。エグゼクティブについて、現場志向で肉体の鍛錬をする欧米型と現場仕事は使用人に任せる途上国型、日頃「現場に任せたほうが良い」を信条とする私もそれは分業で社長業に専念する為の現場を任せるだからね。本書で言う自らの強みに特化すると言う事で、途上国の「オーナー型」とは意味が違いますよ。なので私も身体を鍛錬しつつ現場に出ますが「作業」は職員に振るようにしています。


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