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自動車ロン [書籍他]

 往年の暴走族文化を知る一冊。

自動車ロン

自動車ロン

  • 作者: 福野 礼一郎
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2002/09
  • メディア: 単行本


 そう言う本じゃないけどそう言う本です。内容は10年前の雑誌記事をまとめて本にしたものだから10年前の自動車評論なぞ今更大して役にも立ちませんが、「第2章 昔はよかったか」は面白過ぎる。バイク少年時代(福野礼一郎氏は1956年生まれ)に暴走族をやっていた時分、センパイ達の乗っていた60年代後半~70年代初頭の排ガス規制前の国産GTカーを後ろから観察した珠玉のインプレッション

 1965年生まれの私だと暴走族がその頃とは若干感じが変わりつつあるような?従兄弟が高校中退してチリチリのアフロパーマでカワサキのZ650で暴走していたりとか高校の同級生に「集会行こうぜ」とか何故か誘われたけど場所が湘南でめんどいから行かなかったりだし、あんまり縁が無いね。確かに高校の同級には「ジャパンに430のライトツリ目にしてさー」(スカイラインにセドリックのライトを移植した)とかいたけど。私の高校時代といえばホンダのVT250とヤマハのRZ250が登場したり京浜島のコーナー(と言うほどでもないただのカーブ)にローリング族のはしりが集結したりと細分化が始まった頃ですね。

 その数年後、大学生時代につくばに遊びに行ったら車のバッテリを上げてしまい往生したのですが、時計すら死んだ我が愛車1978年式ホンダアコードサルーンの周辺は地元茨城の暴走族の集会場にもかかわらず、当時はもうコンビニで「お祭りライダー」(もっと後か?)なんつう雑誌が売っていた通り暴走も「走り」が形骸化して「ドレスアップ」に大きくシフトしていました。周囲をワンワン空ぶかししつつノロノロと走り回るビビッドカラーのドレスアップマシーンの1台を捕まえて「バッテリ上がったんでジャンプさせて下さい」と言ったら「ア・イイデスヨー」と北関東訛りで快くジャンプに応じてくれたし。この時はジャンプケーブルが安物で結局JAF呼んでエンジン始動したんだっけ。


 と、高校時代に「集会」に顔を出せば印象が違ったのでしょうが彼らとの接点がもっと後の時代なのでどっちかと言うと昨今珍走団と呼ばれたり旧車會と自称する連中のイメージなんですが、私よりちょっと上の世代、昭和30年代半ば生まれの人なんぞは「元暴走族」なんだけど空ぶかしでノロノロパレードしていたんじゃなくて「埋立地でゼロヨンやってた」とかどっちかと言うと現代語のイメージだと「暴走族」と言うより「走り屋」なんだよね。車に無線積んで警察無線を傍受したり変に機械系に強いし。

 そう言えば「サーキットの狼」も連載当初は「公道レース」だったよな。あのマンガも連載開始当初はフェアレディZやサバンナをリーゼントのアンチャンが乗り回していて彼らが「暴走族」を自称していたね。今みたいに自動車が普及して「民具」に成り下がるより遠い昔の「ステータスシンボル」の時代、「カーキチ」は問答無用で暴走族扱いだったのかなと。いや、確かに80年代半ばにフジテレビがF1の中継を始めるまでは「自動車レース=暴走族」と言うのがマスメディアのスタンスだったものね。つまりは暴走族とは「公道でレースごっこをする連中」と言う事なのか?

 とかうすぼんやり考えていたら本書の描写はスバラシイ。10歳年上の「元」の人に「側道封鎖して幹線道大集団で走ってさー」とか昔話を聞かされてはあ、位にしかイメージが涌かなかったのが、本書では4輪に乗ったセンパイ方が公道で全開走行して露払いした道路をバイクで付いて行くだけ、て成るほど。本当に一般道占拠して全開走行するレースごっこなんですね。私のちょっと上の世代は埠頭でゼロヨンとかだからまだ社会常識が有ったのか。たまに「暴走族写真集」を見てもピンと来ないのはその辺の「暗黙の了解」が私世代だと判らないからだったのね。

 んで、昔も今も変わらない、空気抵抗を気にしなければバイクの加速は自動車を大きく上回るので、露払いのセンパイ方の4輪に付き従う福野少年の「自動車ロン」はバイクより早いか遅いか?だけで明快。初代セリカは見掛け倒しでノロマ、今現在神格化されているニッサンのS20エンジン搭載のGTRやZ432もノロマ。早いのはとにかくデカいエンジンを積んだフェアレディ240Zや今時の軽自動車よりも軽いサバンナRX3、と言うデカいエンジンか軽い車体が大事で、DOHCなぞどうでも良いと言う明快さ。S20エンジンはフォロー記事があって、全開走行前提の「純レース用エンジン」を公道で乗ればそらスカスカ部分で走るだろ、と言う非常に判りやすい話。

 その後は石油ショックと排ガス規制で高圧縮比エンジンにソレックスのツインで有鉛ガス叩き込んで、が低圧縮の触媒付き、SUツインならまだしもシングルキャブだったりするとアクセル踏んでも全然吹けない、私が免許取った頃の低年式中古国産車のエンジン時代を経て、初代トヨタ・ソアラの衝撃が語られているのは私もその頃リアル世代だからわかるわ。しかし、福野氏は評論家らしく、規制前ならソレックスツインとタコアシマフラーで実現していた高出力エンジンをトヨタはCPU制御で実現した云々かんぬんと言うくだりに、ああ、そのコンピュータ制御の成功体験が現在のプリウスまで連綿と続いているんじゃなかろうか?とか興味深かったです。

 40代以上の「カーキチ」には絶対お奨めですが、暴走族=「特攻の拓」世代も大昔のぜんぜん違う文化に触れるきっかけになるので面白いかと。


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ちと

その本、すごく興味があります。

furitannさんと同じ時代を生きてきたものにとって、記憶の中にこびりついている話題だと思います。

サーキットの狼と平行して、スーパーカー消しゴムをBOXYのボールペンで走らせるとか・・・
その後は、バイク物だとバリ伝・ふたり鷹、車物だと赤いペガサス・メカドックなどが流行っていました。

そのときの名残がやがては旧車会や、自動車の電子制御につながっていくとは当時の私は考えてもいませんでした。

by ちと (2010-07-30 19:26) 

furitann

 私は実は図書館で読みきりました。60~70年代GTカーは第二章だけですよ。
私らは50年規制51年規制のどうしようもないゴミみたいなポンコツをヨレヨレ運転した後、ソアラやハチロクみたいな自動車が出てきた分色々感慨無量ですよね。
by furitann (2010-07-30 23:24) 

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