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容疑者ケインズ [書籍他]

 物凄く今更な紹介。

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

容疑者ケインズ (ピンポイント選書)

  • 作者: 小島 寛之
  • 出版社/メーカー: プレジデント社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 単行本


hiroyukikojimaの日記 2008-08-13 『容疑者ケインズ』出ております。(序文をサービス)
>以前、グッバイ・ケインズ - hiroyukikojimaの日記で予告しましたぼくの新刊『容疑者ケインズ』プレジデント社が先週末から書店に並んでおります。カバーは、こんな感じ。

 遥か昔の1年前に出た本を今更紹介するのも何ですが、私が読んだのが先週だったから仕方ない。まあ著者の児島氏も「あとがき」で、>若い院生たちにとって、ケインズ理論など興味の対象外だった。教員たちもケインズ理論に触れるとき、何かおもはゆい口調になっていた。その意味するところは、自分が経済の研究を積み重ねるうちにだんだんわかって来た。ケインズ理論は「すでに終わった理論」とみなされていたのだった。他方では、世の中にケインジアンという人々もまだ生息してはいた。ただし、そういう人々は、ケインズ理論を教条的に無批判に受け入れているように思え、こちらにも強い違和感を持った。

 とか書くくらい本書のテーマである「ケインズ理論」がそもそも今更な話だったり。いやさ、「教条的に無批判に受け入れている人々」はケインズよりマルクスの方が多いんでは?「教条的マルクス主義原理主義者」は声が大きいから目立ちます。因みに丸善に行ってもマルクス本は哲学コーナーに置いてあったりで「経済学」と妄信しているのは一部狂信者だけなのか?とか言いつつも私の歳なら経済学部に入ったらマルクスなりケインズなりを専攻した時代です。と、今大学時代の経済学の教材を引っ張り出したら乗数理論の解説が載っているし。幸か不幸か?経営学専攻だったのでドラッカーだのクーンツだのはやったけどケインズは経済学のコマで触れた程度だ。

 しかし、ケインズ理論が「すでに終わった理論」と思われているのは研究者の間であって、それこそ私世代なら40歳ごろ、「一般理論」や下手すると「資本論」の頭でリーマンショック以降の経済危機を読み解こうとしている秀才やらいるかもしれないし、更に困った事に60代70代の経営者や政治家がそこで頭が止まっているかも知れず。本書はその手の人に今時はこう言う解釈になっていますよ、と言う知識のアップデートを促す一冊かと。


池田信夫 blog(旧館) 2008-01-24 パンフレットとしての『一般理論』
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/e8733410f550fad0eda7721d26d0906e
>要するに『一般理論』は、そのタイトルに反して、30年代の特殊な状況に対応して「失業対策に政府が金を出せ」という処方箋を書いた政治的パンフレットなのである。ケインズ自身が、師マーシャルの追悼文で、経済学者の本業はパンフレットを書くことだとのべている

 と、池田センセに拠ると、「一般理論」なるものは中小企業庁がマンガ本で出している「20問20答」なんぞの仲間なんだそうで。ならばケインズもまさか半世紀以上有り難がられるとは思っていたんだか?池田センセにかかれば本書の著者小島氏があとがきでリスペクトしている岩波文庫の「一般理論」もケチョンケチョンです。

池田信夫の著作物 英文よりわかりにくい「超誤訳」
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/mamiya.HTML
>おまけに、本書の訳者はマル経出身で、マクロ経済学の勉強もしたことがないから、この訳本は翻訳調なのに意味がわからないという「超訳」ならぬ超誤訳である。原著を読んでもわからない本を、経済学を理解してない訳者が訳したのだから、読者にわかるはずがない。本格的に勉強したい人は、原著を読むことを強くおすすめする。

 岩波の社会科学系は本当に評判悪いですね。日本経済新聞社刊の国富論を訳した山岡洋一氏の翻訳の動機も岩波版は日本語になっていない、とか何とかだったし。

 肝心の本書の内容は、「乗数効果」、「不確実性」、「美人投票」、「血気」とか有名なケインズの言葉を紹介し、解説して、現在の有様(大抵否定されきっている)を紹介しています。ただ、小島氏のケインズ観は直感的な人、と言う事なので緻密に見たらそら破綻するのかなと。上記池田信夫氏もケインズの「血気(アニマル・スピリッツ)」を最近採り上げていたっけ。

池田信夫 blog 2009年11月25日 00:44 根拠なき強気
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51318340.html
>むしろ本質的な問題は、日本人がみんな「草食系」になってアニマル・スピリッツを失っていることだ。この点、中国人はみんな元気だ。

>では投資機会を増やすには、どうすればいいのか。これはむずかしい。アニマル・スピリッツとは、ある意味で根拠なき強気だからである。ケインズもナイトも言ったように、起業の平均リターンは(失敗した企業を含めれば)マイナスだから、起業家は不合理なrisk loverだが、そういう人口の数%のイノベーターによって社会全体が利益を得る。したがって成長のためには、リスクを取りやすい環境(資本市場や金融システム)をつくることが大事だ。ところが最近の過剰コンプライアンスは、人々をますますrisk averterに追いやっている。


 教条的に妄信せず言わんとするエッセンスを抽出すればまだまだ(因みに、マルクスも)時代遅れでもないと言うことか。私の事務所のお客も、何か知らないけど最近外国人法人(代表が外国人な日本法人)が妙に増えて来ましたが、確かに彼らは元気です。日本人の「もう日本は駄目」なんて言う終末論なぞ眼中無く日本国内で起業して大儲けを目論んでいる感じ。そう言えばさっき税務署に行ったら個人で開業する外国人が相談に来ていたな。外国人の代表者は習慣が違ったり言語上の問題からコミュニケーションに苦労したりしますが、「血気」盛んな彼らと仕事をすると血気にあてられてこちらも元気になるから楽しい。このまま紹介され続けると外国人向け起業コンサルタントで食える日が来そうな勢いですわ。

 どこが「容疑者ケインズ」の紹介なんだか?ですが、昨今の政府政策の根拠が判ったり、新聞の論説がにおわしている事が判ったりもするので読んでおいて損は無いです。140ページしかないから、初読はサラサラといかなくても読み直しは楽ですよ。


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